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プロフィール

田中ようた(ぼくは16角形)

Author:田中ようた(ぼくは16角形)
著者:田中ようた(ぼくは16角形)

漫画家・イラストレーター

お仕事依頼などはyotatanaka★gmail.comにお願いします。
(スパム対策です。★を@に変えてください)


mixiに登録しました。

僕は地獄にしか友達がいないので、人間の友人がほしいです。
よかったらマイミクになってください。

私については
私の師匠であり元月刊ガロ副編集長の白取様の、 「白取特急検車場」

こちら 「ブロ栗」様


こちら 「un-soka」様


をごらんください。



「ぼくは16角形」というサイトがいくつかあるみたいですが、私が本物です。


「ぼくは16角形」のペンネームで1996-2000まで「月刊ガロ」に投稿。
「16角形」とか「16」とか「ぼくジュー」とか、呼びにくいので、
ペンネームを「田中ようた」に変えようと思ってます。

大阪在住。暴力マンガと回想記を主に描いています。
近々上京予定?


このブログはお金目的でやるつもりはないので、
アフィリエイトは一切貼りません。

どれだけマンガを更新しても僕には一円も入りませんが、
みなさんが面白いと思っていただければ
これほどうれしいことはありません。

ペンネーム考え中。

「ぼくは16角形」というペンネームで描いてました。


1996年より漫画執筆を開始。

過去の作品や新作などを更新していけたらと思っています。

雑誌掲載履歴

雑誌掲載履歴です。 名称未設定-2


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こういうとき、何を考えればいいんだろう?
楽しかったこと?
それとも、つらかったこと?

私の十九年の人生で、楽しいことなんて何もなくて、
ただつらいことばかりだった気がする。

痛いのかな。
でもたぶん痛いなんて考える暇もないんだろう。
一瞬でおわるんだ。

アナウンスが響く。

「新快速が通過します。黄色い線の内側でお待ちください」

包丁はもともと物を切るために作られたもので
人を刺すために作られたものじゃない。

電車だってそう。もともとは人を運ぶために作られたもの。
決して、人の体を粉々にするために作られたものじゃない。

こういうのをシニフィエとか、シニフィアンとかいうんだったかな。
大学の講義で習ったんだっけ。
退屈な講義だった。

大学の一回生のころサークル内の先輩にコクられて付き合うことになった。
先輩はビジュアル系のバンドでボーカルとギターをしてて
すごく人気のあるバンドで取り巻きもたくさんいて
なんで私みたいなのを選んでくれたのか知らないけど
そのうち私はサークルの女子の間で憎まれるようになって
シカトされ出していつのまにか輪の中から孤立しはじめた。
私はまだ処女で先輩にコクられたときはマジで舞い上がっちゃって
二つ返事でOKしたんだけど実は彼はただのヤリチンで
だれかれかまわず口説いてて特に処女キラーだってあとで知った。
彼のくどき文句は、

「えっ君って処女なの?でも大丈夫俺は痛くしないでできるから安心してね」

たしかに私もホテルでそういう風に言われた。しかも、めっちゃくちゃ痛くて泣いた。

そのうち先輩には別の彼女ができて
(私の処女を奪ったら興味を失ったのかとたんに距離を置かれた)、
サークルでは私の孤立が続いてて大学に行くのがほんとにイヤになったから、
授業そっちのけでバイトをはじめた。

居酒屋のバイト。
バイトの先輩にすごくやさしい人がいた。
はじめてあったときからなんだか好意を持てた。
どことなくサークルの先輩に似た、茶髪の人。まじめそうで、でも目は鋭かった。
今はこんなとこでバイトしてるけどいつかは武道館でライブをするのが夢だって言ってた。

バイト帰りに寄った公園で彼が私に告白してキスしてくれたとき、
実は初日からミキちゃんのこと好きだったんだよって言ってくれた。
すっごくうれしかった。

正式に付き合うことになって、私は彼の下宿で一緒に住むことにした。

はじめはすごく仲がよかった。毎日一緒のベッドで寝て、彼の胸は暖かくて幸せだった。

彼が豹変したのは私がサークルの例の先輩とメールしてたのがばれたから。

彼は私を拳で殴った。
「本気で殴ったんじゃないからな俺は女を殴るタイプじゃないしフェミニストなんだからな
今回はお前が悪いんだぞだってお前は俺以外の男と関わろうとしたんだからな
俺が本気で殴ったらお前は今頃墓の中にいるんだぞ昔ボクシングやってたんだからな」

そう彼は言ったけど、たぶん本気で殴ったんだと思う。

だって私は鼻の骨を脱臼した。

男の人って一度女性に暴力を振るうととクセになるらしくって
その「鼻脱臼事件」以降、ことあるごとに、些細なことで彼に殴られた。
殴った後彼はいつもおまえのために殴ったんだお前は体が痛いかもしれないけれど
俺だって心が痛いんだ本当は殴りたくないんだけどお前がわかってくれないからだ
とか言って、頭をたくさんなでてくれる。
好きだとか愛してるとかたくさん言ってくれる。
だから私も彼をいとしく思う。

私を殴った後、彼はすごく暴力的になる。
動物のようなセックスをする。
彼の暴力は愛情表現のひとつなんだと思っていた。
ドメスティック・バイオレンスなんて言葉は知らなかった。

日を追うごとに彼氏の暴力はさらにひどくなった。

私が食事を少し残した(カレーのグリーンピースを二粒)だけで
背中にドロップキックされた。
真夜中私の寝相が悪くって、それが原因で彼の腕がしびれたらしくって、
彼は私の髪の毛を引っ張って立たせて壁に何度も私のおでこをぶつけた。
そのときは部屋が暗くて気がつかなかったけど、
朝鏡を見るとおでこに大きな傷とかさぶたができてて
鼻の辺りまで乾いた血がべったり張り付いてて、壁は血まみれだった。
それを知った彼は私をものすごく強く抱いてくれた。
「ごめんなごめんなミキ。ごめんな。本当にごめん。
ごめんな。お前が嫌いでこんなことするわけじゃないんだ。
おでこいたい?薬塗ろうか?ごめんな。俺なんか死んだほうがいいよな」
おでこに何度もキスしてくれた。彼の唇が触れるたびに鈍い痛みが走った。

同棲を始めて三ヶ月もすると、彼氏のことがすごく怖くなってきた。

ほんとに怖い。

夜も、朝も、昼も眠れない。

彼の家を出て行きたいけれど、実家には戻りたくない、
だってお父さんがお酒飲んで暴れて、お母さんを殴るから。
お母さんが、ごみを見るみたいな目で私を睨むから。

彼氏の家で、はじめてリストカットをした夜のことをよく覚えてる。
テレビでは生放送のバラエティ−番組がやっていた。
お笑い芸人たちがパイをぶつけ合ったりしてて、すごく楽しそうだった。
別世界、という言葉を思った。
バラエティー番組と、私。
この二つの相反する世界が、いま同時に進行しているなんて信じられない。

図工用のハサミで手首をなぞる。
刃が鈍くて思うように切れない。
それでも切ったところがちょっと赤くなって、血がにじんでくる。
赤い手首を見ていると、自分は生きているんだって、少しだけ思う。
押さえつけた真っ白なティッシュが赤くにじむのをみて、
私は何ヶ月かぶりに少しだけ笑った。

ティッシュは便所に流した。ゴミ箱なんかに捨てたらまた殴られるから。
洗面所で手首とハサミを入念に洗った。

二時間後帰ってきた彼氏は私の手首の傷にまったく気がつかず、
三分程度の自分勝手なセックスをして(顔に出された)、
さっさと寝てしまった。

彼のことが好きだった。

彼が毎日私を殴ったとしても。突然私の財布からお金がなくなったとしても。

我慢強い私のコップがあふれたのは、昨夜のこと。

もともと私のコップはそんなに大きくない。
マグカップほどもない。ヤクルトの容器程度の、小さなものだ。
それでも、なんとかこのいびつな世界で、がんばって生きてきた。

これからだって、溜まったら汚れた水を捨てて、新しい水を汲んで。
そうして、自分をごまかして生きていくつもりだった。

バイトから帰ってきて下宿のドアを開けると、知らない真っ赤なヒールが置いてあった。
そして、部屋の奥から声が聞こえた。

例の声だ、とすぐわかった。

あの動物的な。

我慢しようとしても出してしまう、女性のあの声。

「これが、いいんだろ?」って彼の声がかすかに聞こえた。

私はアパートの階段を駆け下りて、ただ走った。
どこへ?知らない。

どこへも行けない。行く場所がない。

走ってる最中にケータイを橋の上から川に投げ捨てた。

無我夢中で、一時間くらい走った。

気がついたら見知らぬ町の公園にいた。

ベンチに座った。

黒猫が寄ってきて、私の足元に体をすり寄せてきた。
えさがほしいのだろう。
ポケットを探る。
入ってたメントスを一粒渡したけどそっぽを向かれる。

ごめんね、何もない。

私にはもう何もないんだ。

彼を抱いたまま、ベンチに横たわって寝た。彼の体はすごく温かかった。
性別なんてわかんないけど、この猫は、オスだ。オスに決まってる。
そうじゃないと、この世界なんてもう何も信じられない。
神様、おねがい。

目覚める。
午前6時。

猫はいなくなっていた。

ホームレスが話しかけてきたから逃げる。

食欲はない。酔いたい。
コンビニで缶チューハイを買う。

飲みきれずに半分残したままゴミ箱に捨てる。

私は駅に向かう。

ホームに立つ。雑踏。人間の声。
ふだんあれほど苦手な人ごみにいても、不思議と落ち着いている。

電車は、人生の縮図だと思う。
中学生、高校生、大学生、サラリーマン。
電車に乗っている人たちは、文字通り、
社会のレールの上で生活しているひとたち。

私は、今から、「社会」に飛び込む。
そう決めて、切符を買った。
切符には、「渋谷120円」って書いてる。
だけど私が渋谷に着くことはない、もう二度と。

耳をすます。いろんな音が聞こえてくる。
人の笑い声。女子高生が携帯で話す声。鳥の鳴き声。
中年男性が新聞をめくる音。
世界はこんなに「音」にあふれていたのか。

そして、遠くから迫ってくるのは、電車の車輪が回る音。
それは、どんどん、どんどん近づいてくる。

私は目を閉じて、足を一歩前に踏み出す。

もう一歩。

黄色い線を踏み越える。

もう一歩。ここでいい。

電車は、もうすぐそこにまで近づいている。

体がこわばる。

だけどなんだか、飛べそうな気がする。

恐怖心はまったくない。さっきのお酒で酔ってるのかな。どうなんだろう。
まあ、もう、どっちでもいいや。

そのとき思い出したのは、幼稚園に通ってたころのことだった。

幸せだった。

あのころ、お父さんも、お母さんも、仲がよかった。
はじめのパパ。

あのころ、インターホンが鳴ると、私は走り幅跳びの選手になった。

玄関に駆け出して、ジャンプ。

パパは大きな胸と笑顔で私を受け止めてくれる。

ママ、なんでパパと別れちゃったの?
ミキは、新しいお父さんなんていらなかったんだよ?

お金もいらない。何もいらない。

私がほしかったものはひとつ。
私のすべてを受け止めてくれる、愛してくれる誰か。

ただそれだけが、ほしかったんだ。

頭のどこかで、インターホンが聞こえた。パパが帰ってきたんだ。

はじめに右足が、次に左足が地面を離れる。

何もかもがスローモーションで流れる。

空中に飛び込んだ瞬間、一瞬、自由になれた気がした。

視界のはじっこに「ヤマダ耳鼻科」と書かれた看板が見える。

誰かが叫ぶ声。

電車の警笛が、私の鼓膜をつんざく。
今までに聞いたことがないくらい、大きな音。

その音さえ、心地よく思った。

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midori URL 2008/05/10 14:50 #- EDIT
涙がでました

慶 URL 2008/05/10 16:58 #- EDIT
これは、意図はすごいわかるんだけど、小説というより説明ってかんじがする。

フ URL 2008/05/10 18:23 #- EDIT
素晴しくないけど素晴しい
最高 アンタ最高やで

にゃ-子 URL 2008/05/11 00:28 #- EDIT
見たくない…
見るつもりはねぇんだ…
って思ってんのに最後まで。
面白い。
締めが好きです。

ゆき1 URL 2008/05/11 03:52 #- EDIT
これをいつもの笑えるマンガにできませんか!?

 URL 2008/05/12 23:15 #- EDIT
あなたには漫画家より小説家のほうが向いている気がしてきました

田中ようた(ぼくは16角形) URL 2008/05/12 23:17 #sqCyeZqA EDIT
>urlさん

ありがとう。すごくうれしかった。

ぽる子 URL 2008/05/13 00:12 #- EDIT
わぁ。
やっぱりようたさんは
文章もうまいなぁ。
コミュもたくさん!
がんばってくださいね。
あーあ。あと2歳で
あたしも19かぁ

たまさま URL 2008/05/17 12:41 #- EDIT
すっと世界に入り込めた。

これは、絵じゃなく文字で表現するからこそ入り込みやすかったのかも。

シバ URL 2008/05/22 01:58 #- EDIT
最後の終り方がすごくよかった。

小説書いた方がいいのでは?って思えるくらい。

 URL 2008/05/30 21:50 #- EDIT
まだまだ文法がつたないところもあるけれど、すごくいいと思いました。
表現力が素敵です。

剣牙虎 URL 2008/06/01 01:41 #- EDIT
きれいな毒の表現ですね。
小説もいいです。長編も読んでみたいと思いました。

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